物流最前線 [クライアント事例紹介] 
課題を解決したクライアント企業が自ら語る、物流改革の舞台裏とは?

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什器から実現した、グローバルでのブランド統一 
中国で一括調達した什器を上海の「物流園区」から出荷することで、コストダウンと品質確保を両立 
株式会社アシックス 様 
(取材・編集 日経BPコンサルティング)


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Chapter-04. 
什器の輸送で多発した破損事故 
中国での一括調達による意外な落とし穴

しかし、これが一筋縄ではいかなかった。マーケティング部門としては当初、什器を生産するサプライヤーに輸出業務まで委ねるつもりだった。ところが什器というのは、シューズやウエアとは勝手が違った。
シューズやウエアはしっかりと箱に梱包したうえで、パレットに積み合わせるなどして効率的に輸送する。しかし、製品を壁に並べるための什器、ウエアを展示するスタンディングタイプの什器、シューズを試着時に使う特殊な椅子、マネキン、ハンガー、紙袋などは、サイズが大きいうえに不定形なものが多い。しかも壊れやすい。多くが典型的な“物流泣かせ”のものだったのだ。

とりわけ製品を陳列するための什器の輸送に苦労した。中国から欧州に半ばトライアルで輸送してみた時には、かなりの頻度で破損事故が発生した。アクリルとかプラスチックの部分が割れたり、スタンディングタイプの什器の底部にある車輪が壊れたりといった事態が頻発した。特注品だけに簡単に修理することもできなかった。
「せっかく中国から什器を送っても、使えないものが到着すれば大問題になる。特に新規で開店する店舗の場合、あらかじめオープン日を設定してすべてのプロジェクトを動かしている。輸送途中で什器が破損したせいで店舗のオープンを遅らせざるを得なかった事態も発生した。この時は新たに什器を作り直し、航空便で送ったために大きな損失が出た。非常に厳しい経験をした」と玉井マネジャーは当時の苦労を振り返る。

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不定形な什器は、典型的な“物流泣かせ”。だが、輸送できなければ店舗戦略は成立しない

調達先を中国に一元化したことで、世界各地に送り届ける輸送リードタイムはかなり長くなっていた。船便で再発送すれば米国向けで約30日、欧州向けで45日程度が新たに必要になる。かといって航空便で送れば、中国で一元的に生産することによるコストメリットなど簡単に消し飛んでしまうだけに、事態は深刻だった。
ワーキンググループは直ちに破損事故の原因を究明し、再発の防止に取り組んだ。しかし、サプライヤーが出荷する時に施した梱包に問題があったのか、あるいは輸送中の荷扱いが問題だったのか、原因ははっきりしない。それだけに、再発防止策は容易には講じられなかった。

物流園区の活用をヤマトロジスティクス(YLC)が提案

物流に頭を悩ませていた2008年の秋、中国を訪問した玉井マネジャーはヤマトロジスティクス(YLC)の現地駐在員と会談した。アシックスの地域販社であるアシックス上海は、それ以前から中国国内の顧客への製品配送と物流センターの運営をYLCに任せていた。その縁で両社のミーティングが実現したのだった。
この時YLCは、アシックスに対して全く新しい什器物流の可能性を示唆した。上海の「物流園区」を活用する方法を提案したのである。

物流園区とは2004年から設置され始めた中国国内の保税区(関税の上では「外国」と見なされ、関税未決のまま外国貨物の積み込み・製造・加工・保管が行える区域)の一種で、従来型の保税区以上に、様々な物流上の特例措置が認められている。
物流園区に荷物を搬入すると、その時点で輸出したと見なされる。すなわち中国に登記のない企業の名義に所有権を移転でき、そのまま保管して詰め合わせやラベル貼りといった流通加工を施すことが可能となる。
この提案はアシックスにとって魅力的だった。同社が使うすべての什器をサプライヤー1社だけから調達することは現実問題として不可能で、中国国内の複数の企業から仕入れなければならない。このため、各調達先から仕入れた什器を配送先となる店舗ごとに仕分け、それをケースに積み合わせるといった流通作業は不可欠だからだ。
こうした管理は商社などを取引に介在させれば、比較的簡単に実現できる。だがそれでは新たな流通マージンが発生し、中国で什器を一括調達するコストメリットが薄れてしまう。
アシックスは、「調達先とできる限りじかに取引しなければ、本当の意味でのコストダウンにはならない」(玉井マネジャー)とかねて考えていただけに、YLCの提案は渡りに船だった。


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