ヤマトシステム開発株式会社

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クラウド型の多様なICTソリューションを提供 
ヤマトシステム開発株式会社

実際の物流までトータルで提案してシステムを開発

宅急便やメール便などのヤマトグループの事業を支える情報システムを開発・運用しているのが、1973年にヤマト運輸のコンピューター部門が分社して誕生したヤマトシステム開発だ。同社は業務プロセスを効率化する多様なICTサービスをグループ外にも積極的に提供しており、既に売り上げの6割以上はグループ外との取引で占めている。最近はクラウド型のソリューション提供に力を注いでおり、モノの流れを可視化するサービスや、販促品を全国にオンデマンドで届けるサービス、宅急便のトレーシング技術を応用して社内便を追跡するサービスなど、豊富なメニューをそろえている。 
(取材・編集 日経BPコンサルティング)

クラウド型のシステムに注力

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皆木健司代表取締役社長
(ヤマトシステム開発)

ヤマト運輸が取り扱う宅急便は年間13億個以上、メール便は23億通以上にも上る。その業務に不可欠な荷物追跡システムや伝票発行システムなどを開発・運用しているのがヤマトシステム開発(YSD)だ。設立は1973年。ヤマト運輸のコンピューター部門が分社して誕生した。

同社は設立直後から、グループ外の企業に向けたシステム開発にも積極的に乗り出してきた。現在は、製造、流通、金融など多様な企業にICT(情報通信技術)サービスを提供しており、グループ会社以外の売上比率が60%を超えている。

「当社の最大の強みは、ヤマトグループが全国に展開する配送ネットワークと、そのネットワークを支えているICT技術を応用したソリューションを提供できることです。単なるシステム開発だけではなく、実際の物流まで含めてトータルで提案してシステムを開発し、ヤマトグループで責任を持って運用まで請け負います」とYSDの皆木健司社長は強調する。

「最近は、インターネットを使ったクラウド型のシステムを中心に開発しています。多くの会社は必ずしもオーダーメイドのシステムを望んでいるわけではありません。低コストで業務を効率化できればいいと考えている企業が多いのです。もちろんクラウド型でもカスタマイズは可能なので、個別のニーズにもお応えできます。クラウド型ですから、初期投資がほとんど必要なく、経費を変動費として処理できる点もメリットでしょう」。皆木は最近のトレンドをこう紹介する。

例えば最近、メーカーや商社など多様な業種で幅広く活用されているクラウド型のサービスが、全国の拠点の在庫を単品管理できる「倉庫『見える化』@web」や「流通『見える化』@web」といった「見える化」ソリューションだ。

多くの企業が在庫管理システムを導入しているが、工場や配送センターなど拠点ごとに個別管理しているだけの企業も少なくない。これでは拠点ごとの部分最適は実現できても、全体最適にはならない。YSDの「見える化」ソリューションを導入すれば、原材料の調達から生産、配送まで、一連の“モノの流れ”を可視化して一元管理できるので、在庫削減に威力を発揮する。

受注から出荷までを一元管理することで、通販事業のリードタイムを短縮できる「Web出荷コントロールサービス」も導入企業が増えている。このシステムを活用すれば、出荷の進捗(しんちょく)状況も把握できるので、顧客からの問い合わせにも迅速に対応できる。「全国に店舗を構えている大企業でも、通販事業に関しては専用センターを設けているケースが少なくありません。しかも、実店舗とセンターの在庫は一元管理されていないので、余分な在庫を抱えてしまっています。『Web出荷コントロールサービス』を導入すれば、全国どこで受注しても、どこからでも宅急便で出荷できるので、専用センターが不要となり、お届け先に最も近い店舗から配送することができます。その結果、在庫と輸送コストの削減につながります」と皆木はそのメリットを説明する。

販促品をオンデマンドで印刷して配送

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e-オンデマンドソリューションカンパニー
堤真吉プレジデント
(ヤマトシステム開発)

「販促品オンデマンドサービス」も宅急便のネットワークを生かしたクラウド型のソリューションだ。チラシやカタログといった顧客に配る販促品をYSDで預かって、必要に応じて全国の支店や営業所に宅急便で届けるシステムである。

「販促品が全国の支店や営業所に大量に残っている会社が多いのではないでしょうか。当社の『販促品オンデマンドサービス』を活用していただければ、そうしたムダを大幅に省けます」。e-オンデマンドソリューションカンパニーの堤真吉プレジデントは特徴をこう説明する。

いち早くこのサービスを活用し、大きな効果を上げているのが医薬品メーカーだ。

大手の医薬品メーカーは全国の営業所にMR(医薬情報担当者)を配置し、各地の医療機関に販促品を持参して営業するスタイルを採用しているケースが多い。カタログやチラシなどの販促品は、多ければ1社で2,000種類以上に及び、通常はその多くを全国の各営業所が管理している。実際の必要量に関係なく、本社が見込みで印刷して全国に配送しているので、実際には配布できずに廃棄されてしまうこともしばしば。しかも、どれだけのムダが発生しているのかさえも把握できていないケースが少なくないという。

「販促品オンデマンドサービス」はこうしたムダを省くソリューションで、販促品はYSDが運用する倉庫に保管しておく。MRは医療機関を訪問する前に、パソコンや携帯電話からインターネットを通じて、必要な販促品の種類と数量そして送付先をシステムに送信する。その情報を受け取ると、倉庫から宅急便で発送し、一部地域を除くと翌日に販促品が届く。会社だけではなく、自宅や出張先のホテルに送付することも可能だ。

このシステムを導入すれば、営業所の販促品保管スペースをゼロにすることも可能だ。また、在庫を1ヵ所で管理するため、販促物の実際の配布量が把握できるので、販促物の印刷部数の削減も可能になる。

「システムの利用料や配送料金はかかりますが、保管スペースや印刷部数の削減で、トータルコストは削減できます。また、医薬品の場合、情報の古い販促品を医療機関に持参したら大変なことになります。各営業所の管理ではそのリスクがありますが、一元管理できる『販促品オンデマンドサービス』なら、その心配もありません」とe-オンデマンドソリューションカンパニーオンデマンドソリューショングループの森本康介チーフは強調する。こうしたメリットが評価されて、大手医薬品メーカー数社が既に導入済みだ。

2010年からは、オンデマンドプリント機能が追加され、さらにメリットが拡大した。東京と大阪のセンターに高性能なオンデマンド印刷システムを導入し、営業拠点からの注文に応じて必要な部数だけ印刷して発送する体制を整備している。これにより、販促物の在庫はさらに削減できる。

オンデマンドで印刷すると1部当たりのコストは高くなるので、大量に配る販促品は従来通りに印刷して倉庫に保管しておき、必要部数が少ない販促品はオンデマンド印刷に切り替えるといった具合に、使い分けることで導入効果はいっそう向上する。「『販促品オンデマンドサービス』は医薬品メーカーだけではなく、全国に拠点を持ち、大量の販促物を必要とする業種なら導入メリットが大きくなります。既に、保険業界や自動車業界など様々な業種で利用され始めています」と堤は語る。

重要情報を含んだ社内便を追跡管理

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セキュアトレースカンパニー
槇裕史プレジデント
(ヤマトシステム開発)

宅急便を支える荷物追跡システムを活用し、多様な企業の業務プロセスを効率化するクラウド型のソリューションも続々と誕生している。

例えば「社内便トレースサービス」。「日本でも個人情報保護に関する要請は強まるばかりです。自社の拠点を結ぶ社内便といえども、顧客の個人情報を載せている場合には、徹底した管理が不可欠で、万が一、行方不明になったら、所在が判明するまで徹底的に追跡調査しなくてはなりません。そのためにヤマトグループの追跡システムがお役に立ちます」とセキュアトレースカンパニーの槇裕史プレジデントは紹介する。

例えば、クレジットカード会社や保険会社などは、各地に散らばる営業拠点と本社や支店・事務処理センター間で契約者情報を社内便でやり取りする場合が多い。その際には、授受をいちいち記録することが必要となる。また、送付記録を残すため、コストの高い簡易書留で送るケースも少なくない。

「社内便トレースサービス」を導入すれば、こうした手間やコストを削減できる。個人情報が入った社内便を送付する場合は、差出人や受取人などをインターネットを通じてシステムに登録し、バーコード付きの送付状を印刷する。その社内便が通る各拠点で、バーコードをスキャンして通過情報をシステムに登録し、送付先までの配送状況を追跡する仕組みだ。社内便の運送方法は様々だが、現金輸送車で現金などと一緒に運んでいる金融機関もあるという。

大手企業の中には、重要情報の入った社内便を1日1万通も送付しているところもある。こうした大量の社内便を追跡する場合、各拠点で登録に手間がかからないように、ICタグを埋め込んだ社内便専用の封筒もYSDは提供している。繰り返し使用できるこの封筒を使えば、専用読み取り機に置くだけで瞬時に情報を読み取ってシステムに登録できる。

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e-ネコセキュリティBOX

「社内便トレースサービス」を導入しているのは、金融機関だけではない。全日本空輸(ANA)は、グループ会社と業務委託先を含めた70社を対象に、2009年3月にサービスを導入した。従来は、個人情報が入った重要書類は簡易書留や運賃の高い特別な配送便を利用していたが、それらを自社保有車での社内便に切り替えることで、年間約6,000万円のコストが削減できた。そのうえ、インターネットで配送状況が確認できるようになり、紛失の捜索や誤配や遅配の問い合わせが激減して、社内便担当者の労務コストも削減した。

「全国に拠点を持ち、多数のグループ会社や委託先を抱える企業であれば、導入メリットは大きくなります。あらゆる業種で導入を検討していただいています」と槇は語る。

社内便で大量に重要情報をやり取りしない企業でも、営業拠点や取引先と重要情報をやり取りするケースは必ずあるはずだ。そうした企業を対象にYSDが開発したのが、「e-ネコセキュリティBOX」。登録した携帯電話もしくはICカードを使用しないと解錠できないアルミニウム製の箱を、レンタルあるいは販売するサービスだ。GPS(全地球測位システム)を使って位置情報も追跡でき、いつ誰がどこで解錠したかをインターネットで「見える化」できる。

企業のパソコンの“一生”を一元管理する

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PCライフサイクル事業部
佐野達史事業部長
(ヤマトシステム開発)

追跡技術を活用して最近事業化したユニークなソリューションが、「PCライフサイクルサービス」だ。会計面ではパソコンは企業の重要な資産であり、今後、IFRS(国際会計基準)の導入が進めば、より厳格な資産管理が求められる。また個人情報保護の観点から考えても、パソコンの所在や利用状況の正確な把握は不可欠だ。

「大企業でも、現時点ではパソコンの管理は徹底しているとはいえません。調達は購買部、経費処理は経理部、管理は総務部、ヘルプデスクや修理は情報システム部といった具合に様々な部署が関連して、情報の整理すらできていないケースが多いようです。その点、『PCライフサイクルサービス』を導入していただければ、調達から廃棄まですべての履歴を追跡するので、パソコンの資産管理をフルアウトソーシングできます。こうしたワンストップソリューションを提供できるのは、YSDのみです」とPCライフサイクル事業部の佐野達史事業部長は強調する。

最近のパソコンの使用期間は4~5年。その間には、転勤や組織変更による利用者や利用場所の変更があり、アプリケーションの入れ替えや修理などのメンテナンスも発生する。「PCライフサイクルサービス」を導入すればYSDのPCLC(PCライフサイクル)サービスセンターで購入から、初期設定やアプリケーションのインストールといったキッティングを行い、導入後にはヘルプデスク、資産管理、修理やメンテナンス、セキュリティーといった管理業務、さらに使用済みになるとデータ消去から廃棄までを行う。いわばパソコンのライフサイクル全般にわたるサービスを記録に残す形で提供する。

2011年4月からはこうしたパソコンの管理情報をインターネットでやり取りできるクラウド型のシステム「PCLC-Web」も稼働する。稼働後はWeb上で容易に一元管理できるようになる。どこで誰が使用しているかを簡単に登録できるようにするため、2次元バーコードを活用し、それを携帯電話で撮影して情報を送信することで、機器と使用者を特定できる仕組みも持たせる。この「PCLC-Web」を活用すれば、ノートパソコンなどのモバイル機器を誰が持ち出しているかといった管理も容易に行える。

「『PCライフサイクルサービス』を導入すれば、情報システム部門はもちろん総務部門や経理部門の負荷が軽減しますから、かなりの人件費が削減できます。ある大手メーカーでは、月120万円の人件費を削減できました。規模が大きくなればなるほどメリットは大きくなるので、単体ではなくグループ企業も含めてご契約いただくことをお勧めします」と佐野は説明する。

また、企業の規模やニーズに合わせて、一部のサービスだけを選択することも可能だ。ある宅配サービス会社では、キッティングや店舗への設置のみをYSDに依頼している。店舗のパソコンを入れ替えられるのは営業時間外のみ。全国規模で柔軟なスケジュールで作業が実施できる点やヘルプデスクなどが評価された。

データセンターのセキュリティーには万全を期す

クラウド型のサービスでは、重要な情報がユーザーのパソコンではなく、YSDのサーバーに蓄積されていくことになる。このため、YSDはデータを安全に保管する体制に万全を期している。

中には、セキュリティー面では、最も厳しいといわれるクレジットカード業界の国際セキュリティー基準「PCI DSS」に完全準拠しているデータセンターもある。また万が一の災害に備えて、東西にデータセンターを設けてバックアップする体制を取り、建物には免震構造を採用、自家発電装置や通信経路なども複数用意した。

2011年1月に発表したヤマトグループの2019年までの長期経営計画では、グループ全体で100の事業を展開することを目指している。現在の事業数は約50で、そのうちYSDが中心となって展開している事業は8つだ。

皆木は「グループ全体で100事業にするためには、当社の事業を少なくとも倍増しなくてはなりません。電子マネー関連など大きく育つ事業の芽はたくさんありますから、きちんと伸ばしていきたい。また、YSDはアジア展開に合わせて、国内で提供している様々なICTソリューションを現地でも提供していく予定です。当社単体では2019年に、売り上げは現在の3倍、利益は4倍を目指しています。そのために、これからも皆様のお役に立てるソリューションを開発していきます」と決意を語る。

(掲載内容は取材時のものです。部署名及び役職名は、現在のものと異なる場合があります)


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