新しい客層の開拓に加えて、商圏の拡大がヤマトグループの「ネットスーパーサービス」を活用した場合に生まれる大きなメリットだ。最近のネットスーパーは、専用拠点を設けず既存の大型店舗を拠点とする傾向にある。注文に応じて店員が店頭で商品をピッキングして、バックヤードで梱包・出荷するのだ。大手スーパー運営のネットスーパーの場合、その方法で、店舗の周囲半径2~3kmを専用のチャーター便で配達しているケースが多い。これでは、“リアル”店舗の利用客と重なるので、商圏の広さは変わらない。
しかし、「ネットスーパーサポートサービス」なら、宅急便を使うので配達範囲が広く、店舗から半径10~30kmまでカバーできる。“リアル”店舗のない地域からも注文をとることができ、広域商圏のビジネスへ発展させることが可能となる。
2010年末時点、ヤマトグループのASP(ソフトの期間貸し)を導入してネットスーパー事業を展開することを決めているスーパーは全国で28社。そのうち既に16社が営業を開始しているが、そのほとんどが、品揃えが充実している主力店などの1店舗をネットスーパーの拠点とし、県内全域など広範囲をカバー。これまでカバーできていなかった地域からの注文にも対応している。
広域商圏というメリットを生かせば、品揃えの拡大による顧客満足度の向上も期待できる。特色ある商品を取り扱いたいと思っても、狭い商圏ではそれほど数が売れないので廃棄ロスが怖くて二の足を踏んでしまうスーパーが多いが、広域商圏ならまとまった数が売れるので取り扱える。
例えば地方物産展などをネットスーパーで開催し、その地域では普段買えない商品を売れば、顧客の注目を集められる。ヤマトグループではそうした地域商品の仕入れ先の紹介も請け負う。さらに「Web出荷コントロールサービス」を併用すれば、注文が入ってから地方の販売会社に発送指示を出して宅急便ネットワークで配送するので、仕入れのリスクもなくなる。